弁護士一問一答 【借金債務・自己破産】
借金債務・自己破産C 〜自己破産の利点と不利益〜
【質問】 自己破産をすることのメリット(利点)とデメリット(不利益)について教えてください。
【回答】自己破産をして裁判所から免責の許可が得られれば,租税等の一部の債務を除いて,どんなに負債額が大きくてもその債務を支払う必要がなくなります。この免責による債務の免除が,自己破産の最大のメリットと言えるでしょう。
また,自己破産の申立てをして,裁判所から各債権者に対して債務者が自己破産の申立てをしたことについての通知が届くと,貸金業者等の債権者から取立や督促を受けることがなくなります。
特に,貸金業法には,債務者が裁判所における必要な手続きをとり,その結果裁判所からその旨の通知があった場合,貸金業者が正当な理由なく債務の弁済を要求すること等を禁じる規定があります。
なお,債務者が任意整理等の手続きを弁護士に依頼し,弁護士から貸金業者等に受任通知が届いた場合も,債務者への直接の督促や取立行為はなくなります。
次に,自己破産をした場合のデメリットについてですが,債務者にとっての実質的な不利益は,一定の財産を除いて財産を処分しなければならなくなること以外には,日常生活を継続して行く上で,ほとんどないと言えます。 自己破産を理由に,選挙権がなくなってしまったり,会社を解雇されることはありません。自己破産をした場合に,一定の資格(弁護士,証券会社の外務員,警備員等)について制限を受けることがありますが,この資格制限は免責の許可を受けて免責が確定すれば再び資格に就くことができます。
もちろん,自己破産をした場合には,その情報が消費者金融等による、信用情報機関に登録され,以後5〜7年間程度の間は金融機関からの借金ができなくなるというデメリットはありますが,借金に頼らないで生活を再建するというのであれば,むしろ「借りられない」という状況はメリットと言える場合もあるでしょう。
なお,一度破産をして免責許可を受けると,原則として以後7年間は再び破産による免責許可を受けられませんから(破産法第252条1項10号),再び自己破産をしなくて良いように,しっかりと生活を建て直していかなければなりません。