弁護士一問一答 【遺言・相続】
遺言・相続H 〜遺産分割協議書作成の意義と効果〜
【質問】 関係当事者間で遺産分割に関する合意が成立したのですが,やはりしっかりと書面化しておいた方がよいのでしょうか?
【回答】遺産分割に関して共同相続人等の関係当事者間で合意が成立した場合,単に口頭による約束で留めておくことも可能ですが(遺産分割協議書を作成する義務はありません),協議や合意の内容を証明し協議の蒸し返し等を防止するためにも,遺産分割協議書を作成しておいた方が良いでしょう。
遺産分割協議書には,共同相続人全員が署名・押印しなければいけませんから,一部の共同相続人だけで勝手に作成することはできません。
作成に当たっては,共同相続人全員が一同に会して一度の機会に作成して署名・押印する方法でも良いし,予め遺産分割協議書の案を作成しておき,郵送などの持ち回りによって他の共同相続人が署名・押印していく方法でも構いません。
ただ,いずれにしても,相続人全員が遺産分割協議書の記載内容を十分に把握して承認し,署名・押印する必要があります。
遺産分割協議書は,他の契約書等と同様に複数の相続人間で遺産分割協議が成立したことの証明になりますし,遺産の中に不動産が含まれている場合には,その遺産分割協議書を使って不動産登記をすることもできます。
また,被相続人の死亡によって凍結されてしまった被相続人名義の預貯金を引き出して分配する際にも遺産分割協議書の提出を求められることがあります。 なお,凍結された預貯金の引き出しについては,各金融機関でそれぞれ独自の運用をしていることが多く,必要となる書類等も各金融機関によって異なることがありますので,事前に確認しておくことが肝要です。
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