弁護士一問一答 【契約・消費者問題】
契約・消費者問題H 〜中途解約した場合の清算関係〜
【質問】 特定商取引法によって中途解約をした場合の代金の清算や,損害賠償などはどうなるのですか?
【回答】中途解約の意思表示を行うと,事業者との契約は将来に向かって効力を失います。ですから,契約した消費者としては,受講料等の料金を支払う必要はなくなりますし,事業者としてもサービスを提供し続ける必要がなくなります。
もっとも,あくまでも将来に向かって契約の効力が消滅するのですから,既に受けたサービスに対する対価等が返金されるわけではなく,将来支払うべきであった前払いの受講料等が返還されることになります。
ですから,半年で60万円の受講料を前払いしたものの,1か月分の受講をしただけで中途解約するという場合には,未受講の5か月分の代金(50万円)が返金されることになります。
もっとも,中途解約をした場合に,事業者が消費者に対して,中途解約されたことによる損害賠償金を請求してくることがあります。
特定商取引法は,事業者による損害賠償についても規制しており,事業者は一定の金額以上の損害賠償金を請求することができなくなっています。
例えば,語学教室サービスの場合,事業者が消費者に対して請求できる中途解約時の損害賠償額は,サービスの提供前の時期であれば1万5000円,サービス提供開始後であれば5万円と残代金の2割を比較していずれか低い方の金額にまで制限されています。
したがって,上記の事例で,事業者が請求できる損害賠償金は,5万円が限度ということになり,あなたの手元には,少なくとも45万円が返金されなければならないことになります。