弁護士一問一答 【離婚・夫婦間紛争等】
離婚・夫婦間紛争等C 〜過去の婚姻費用分担の態様と財産分与〜
【質問】 長年に亘って夫が満足に生活費、つまり婚姻費用を分担してくれない状態が続いていたのですが、離婚にあたってはこのような事情は考慮してもらえるのですか?
【回答】夫婦が婚姻中に協力して取得した財産(預貯金や不動産等)を、離婚する際や離婚後に分けることを「財産分与」といいます。
離婚後,財産分与について当事者間の話合いがまとまらない場合や話合いができない場合には,離婚の時から2年以内に家庭裁判所に調停又は審判の申立てをして,財産分与を求めることができます。調停手続を利用する場合には,財産分与請求調停事件として申立てをします(離婚前の場合は,夫婦関係調整調停(離婚)の中で財産分与について話合いをすることができます。)。
婚姻期間中に相手方から不十分にしか婚姻費用の分担を受けられなかったというような事情がある場合、この「財産分与」を定める手続の中でそのような事情を考慮してもらえることがあります。
この点、最高裁判所も、判決の中で「裁判所は,当事者の一方が過当に負担した婚姻費用の清算のための給付をも含めて財産分与の額及び方法を定めることができるものと解するのが,相当である。」と述べており(S53.11.14最三小判)、婚姻期間中に夫から満足に婚姻費用を支給されなかった等の事情がある妻について、この夫婦が離婚する際の財産分与を決める際に、過去にもらえなかった分を上乗せして清算する等の事後的な調整を認めているようです。
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