弁護士一問一答 【離婚・夫婦間紛争等】
離婚・夫婦間紛争等G 〜退職金の分与率〜
【質問】 離婚の財産分与で,会社員である夫の「退職金」は分与の対象になるのですか?また,夫の定年退職が5年後で,いますぐには退職金が現実化していない場合,離婚の時点では退職金は一切分与してもらえないのでしょうか?
【回答】もちろん,退職金等も財産分与の対象になります。
ただし,夫が取得した退職金について,財産分与として,どんな場合でも必ず妻がその2分の1相当を取得できるというわけではなく,夫婦間の分与の割合については,退職金の取得に対する各々の寄与度や寄与率等の諸事情が考慮されることになります。
例えば,婚姻期間が20年でも,そのうちの同居期間が10年程度に過ぎない場合等には,同居期間に相当する期間(10年間)のみが「寄与」期間として退職金の分与率が決められることになるでしょう。
なお,離婚の時点では退職しておらず,将来において退職金がもらえる見込みがあるに過ぎないような場合であっても,将来の退職金を財産分与の対象とすることができる場合があります。
裁判例によると,将来支給を受ける退職金であっても(離婚時に退職金が具体的に発生していなくても),退職金の支給を受ける高度の蓋然性が認められるときには,将来支給される退職金も財産分与の対象とすることができるとしています。
ですから,定年までの年数や(一般に,短ければ短いほど退職金発生の蓋然性は高くなるでしょう。),会社の種類や規模,その他勤務状況等に照らして,退職金を受け取ることがほぼ確実であるといえるような事情があれば,例え退職前であっても,退職金を財産分与の対象として分与額を計算することができます。
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