弁護士一問一答 【労働問題】
労働問題A 〜労働審判の手続き〜
【質問】 「労働審判」とはどういう制度なのですか?
【回答】原則として労働審判申立書を提出し、使用者側がこれに対する答弁書を提出します。
審理のために開かれる期日は原則として3回以内ですから、主張や立証(お互いの言い分やその根拠となる資料の提出など)をするにあたっては迅速かつ包括的な対応が要求されるとも言えます。
法的な構成や整理、学説や判例の説明を必要とするような場合には、弁護士を代理人として的確な資料を準備することが望ましい場合もあります。
審理は非公開で行われますが、裁判所の許可があれば、審理を傍聴することもできます(労働者の家族等や当該労働事件に関係する会社関係者等であれば、傍聴が許可されることがあり得ます。)。
労働審判では、まずは調停(裁判所を介した当事者同士の話し合い)による問題解決が試みられますが、調停による話し合いで解決しない場合には、3回までの期日を経て、労働審判官(裁判官)による審判が下されます。
一度下された審判に対しては、書面によって異議申立てをすることもできます。異議が申し立てられた場合は、当該事件は通常の裁判に移行して争われることになります。
ただ、審判はあくまでも裁判官や専門の実務家による判断の結果ですから、異議申立て後の通常訴訟においてもそこでの評価や判断は十分に尊重される可能性があります。
ですから、労使双方とも、労働審判の段階から十分に主張と立証を尽せるようにできる限りの準備をしておくべきでしょう。